ビリー・ホリデイ/奇妙な果実 1939・44、ユニバーサル

それだけで哀しさが滲んでくる。
途中テンポをあげてからはやや明るさを取り戻す。
それでも全編にわたって流れているのは、失恋の切なさ、そして生きることの辛さである。
こんな歌が歌えるシンガーはホリデイ以外にいない。
そこがビリー・ホリデイの真髄であり魅力だ。
ビリー・ホリデイは1915年4月7日メリーランド州ボルティモアの生まれ。1959年7月17日44歳の若さで、ニューヨークで亡くなった。
子供のころ、ルイ・アームストロングやベッシー・スミスの歌をよく聴いたという。
売春罪で投獄され、麻薬容疑で逮捕されるといったドラマティックな人生は、本にもなり、ダイアナ・ロス主演で映画化された。
本のタイトルにもなった「奇妙な果実」というのは、リンチの末、ポプラの木に吊るされた黒人の死体のことであり、これは人種差別に対する告発の歌。
このようにシリアスな曲がヒットチャート入りするとは誰も予想しなかったが、1939年にビルボードのシングルチャート16位にランクされるヒットとなった。
声高に叫ぶのではなく、ビリーは終始淡々と抑えた感じで歌っている。それが説得力を生み、聴く者の心を締めつける。
ビリー・ホリデイが歌った他の曲もすべて素晴らしい。
1939年から1940年代初頭にかけての名唱を収録したビリーの最高傑作であり、ジャズヴォーカル不滅の金字塔である。
(市川正二さん談)
▼Strange Fruit(奇妙な果実)は、ジャズ・ヴォーカルの古典となった。
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